新型コロナウィルス感染症で一気に重篤化し、お亡くなりになる方がいると報道されています。
感染が確認されると家族でさえ付き添いやお見舞いもできません。
新型コロナウィルス感染症でお亡くなりになった場合はお顔も見ること叶わず、湯灌も献花も読経もできず火葬されてお骨になってご自宅に戻るだけになってしまいます。
普段から家族にいろいろと話しておいたから何も心配ないという方はごく少数ではないでしょうか?
”おうちにいよう”の外出自粛期間の今だからこそ終活について考えてみるのはいかがでしょうか?
自宅でできる自筆証書遺言について終活の専門家 終活水先人ココロノテが説明します。
この記事では以下の事が分かります
なぜ遺言書を作っておくと良いのかその理由
『相続』を『争続』と揶揄されるくらいに揉めます。
遺言書を作っておく理由について説明していきます。
相続争いは遺産の大小に関わらずに発生します。
円満な相続したい場合には「遺言」を作成すれば多くの相続争いは回避できます。
「まだ自分は大丈夫」「もっと高齢になったら書く」
なんて言っている間にある日突然相続が発生します。
法律で遺産相続のとりわけが決まっていれば争うことがありませんが、遺言が無い場合は
「相続人全員の話合い」によって遺産の分け方を決めなければならない(遺産分割協議)になると争いになります。
遺言があれば民法は故人の遺志を優先しているために遺言に書かれた遺産分割の分け方を最優先されます。
相続を「争続」にしないためにも遺言は作成しましょう。
高齢者だけではなく若い世代の人ほど遺言書作成しましょう
遺言というと高齢者が死期を悟り作成するイメージですが、30~40代の働き盛りの人こそ作成しておくと良いです。
もし不幸にも若くして亡くなり、子供が未成年の場合遺言が無いと追加の法的手続きが発生し、残された家族特に配偶者に大きな負担が生じてしまいます。
30~40代の世代は親が高齢となってきており、財産を相続する立場として親に遺言の作成を離す機会もあります。
遺言書作成しておくと良い人
- 子供のいない夫婦
- 離婚歴があり前妻や前夫の子供がある
- 内縁の妻・夫に相続させたい
- 子供の配偶者や孫に遺産を渡したい
- 法定相続人以外の人に相続させたい
- 相続人の仲が不仲だ
- 特定の相続人にたくさん遺産を渡したい
もしもの時に備えて簡単に自筆証書遺言を書いておきましょう。
遺言書には3種類あります。自筆証書遺言と公正証書遺言と秘密証書遺言書です。
その中で費用が掛からず、自宅で準備でき簡単に始められるのが自筆証書遺言です。
公正証書遺言は公証役場で公証人が作成してくれて公証役場に遺言書が保管でき尚且つ紛失した場合再発行もしてくれます。
公証人は出張もしてくれますが、その分費用も掛かります。証人も2名必要です。
(他の遺言書について詳しく知りたい方は
『遺言書は3種類あります。メリット・デメリット、書き方について』で解説しているので併せてお読みください)
外出自粛が落ち着いたら、今回作成した自筆証書遺言を参考にして改めて公正証書遺言を作成すれば大丈夫です。遺言書は何度作成しても大丈夫です。一番最近に作成したものが有効となります。
2020年7月10日から法務局で自筆証書遺言を保管してくれる制度が始まります。それまで待たずにまずは自筆証書遺言を作成しておきましょう。
自筆証書遺言に準備する4つのもの
用紙
特にこの用紙とかの決まりはありません。文字などが印刷されていない(無地)ものが良いです。
破れないA4サイズの用紙が良いと思います。縦書きでも横書きでも大丈夫です。
破れにくいということで和紙で記入される方もいます。
封筒も必要です。表書きに「遺言書」と記入します。
筆記用具
消えないもので記入しましょう。
鉛筆や消せるボールペンはやめましょう。
油性ボールペンや万年筆、筆ペンなどが良いです。
印鑑
シャチハタは止めておきましょう。
認印でも良いですが、間違いないのは印鑑証明書がある実印が良いです。
偽造を防ぐためにも印鑑証明書も同封すると良いでしょう。
財産がある人は
不動産を残したい場合は登記簿謄本を準備しましょう。
お金や有価証券がある場合は銀行の預金通帳を準備します。
自筆証書遺言作成の8つのポイント
1、書き出しにタイトル「遺言書」と明記する
2、不動産がある場合は登記簿謄本の記載通りに書く
遺産分割方法を指定する不動産は正確に特定するために登記簿謄本の記載通りに書きます。
3、預貯金や証券会社の金融機関及び口座番号まで記載またはコピー
4、作成された年月日、住所、氏名を明記する
〇年△月吉日とは書きません。〇年△月□日としっかり記載します。
西暦でも和暦でもどちらでも構いません。
遺言書は何度書いても良いのですが、一番最近の日付けの遺言書が認められます。
相続人についても妻、長男、だけではなく、しっかりと氏名、生年月日を書きます。
5、印鑑は認印でも法的有効だが万全を期すためには実印が良い
遺言書には作成した人の署名・押印が必要です。
どちらかが欠けたものは認められません。
印鑑証明書があると間違いありませんので実印が良いです。
加筆や訂正の場合にも押印が必要です。
封筒に入れた場合にも封印で押印が必要となります。
6、遺言執行者を決めておいた方が相続手続きは円満に進む
遺言にはあなたの死後に遺言の内容を実現する役割をもった「遺言執行者」を決めておくと良いです。
相続人の代理とみなされ遺言の執行に必要な一切の行為をする権利・義務を有するので相続人全員で手続きを行う必要が無くなります。
未成年と破産者以外は誰でもなれます。
法定相続人や遺贈を受ける者、弁護士や司法書士の法律の専門家でもなれます。
指定する場合は遺言執行者の報酬も定めておくと揉めません。
生前に支払うのではなく相続財産の中から相続人や受遺者が支払う形になります。
7、全文自筆で自分で書く必要がある
自筆証書遺言というだけあって全文を自分で全部書きます。
代筆や2人で作成は認められていません。
民法改正で財産目録だけはパソコンが認められましたが遺言書だけは全部ご自分で自筆で書きます。
遺言書には署名押印が必要です。
パソコンで作成した財産目録や通帳のコピー、登記簿謄本にも署名押印が必要です。
※遺言書は全文を自分で書きます。
※財産目録はパソコン作成、代筆が認められています。
8、付言事項(ふげんじこう)とは
遺言は財産分与に関しての事だけを記載しますが、この遺言を作った目的や分け方、キッカケについての説明や感謝の気持ちを最後に書いておくと相続人が納得して円満な相続を行うことが可能になります。
家族や大切な人へのメッセージとして残すと良いでしょう。
遺留分に注意して作成する
遺言書が作成されていれば遺言内容が優先されますが
「遺留分」は遺言によっても侵害されない範囲として民法が保障している最低限度の相続分です。
遺留分を無視した遺言書を作成すると「遺留分侵害額請求権」で揉める原因となりかねません。
気をつけましょう。
遺留分が認められているのは配偶者・子などの直系卑属・親などの直系尊属です。
兄弟姉妹には遺留分は認められていません。
(遺留分について詳しく知りたい方はこちらで『相続の基礎知識ー誰がもらえる?いくらもらえる?請求できる?もらいたくない?渡したくない人がいる場合どうする?』解説していますので併せてお読みください)
加筆や訂正したいときは
一旦作成した遺言書を後から加筆したり、訂正したりする場合は
元の文章内容がわかる形で二重線を引いて消し遺言書で使っている同じ印鑑で訂正印を押します。
新しい内容を書きます。
下のほうに訂正・加筆した旨を記入すると良いでしょう。
まとめ
費用が掛からず、自宅にて作成ができる自筆証書遺言についてまとめてみました。
いつ・どこでどうなるかわかりませんし、新型コロナウィルス感染症の心配ばかりではなく事件・事故・病気・ケガでお亡くなりになる場合もあります。
家族に看取られながらお亡くなりになるのであれば、最後に直接伝えれば良いかもしれません。
ですが今回の新型コロナウィルス感染症でお亡くなりになった方は、それすらも叶いませんでした。
残された家族のためにもできることをしておきましょう。
ネットで「自筆証書遺言 書き方」などで検索すると画像や文例が見ることができます。
ぜひ参考にして自筆証書遺言を作成してください。
自信が無い・不安だという方は終活水先人ココロノテにご相談ください。