突然、故郷の親が倒れて入院の連絡が来た。命に別状は無いが後遺症が残り介護が必要になってしまった。
自分には家族も仕事もあるので介護できない。どうしよう。
親の介護問題はある日突然始まります。近くにいて介護できるなら良いですが遠距離の場合は悩みます。
慌てて”介護施設探す”とか”介護離職する”の前に遠距離介護が必要になった場合のやるべきことについて7つまとめました。
終活の専門家終活水先人ココロノテ、在宅訪問マッサージあいのて福島県南代表の遠藤が説明いたします。
この記事では以下の事が分かります
1、入退院の相談は「医療ソーシャルワーカー」
ある程度の大きな病院は「医療相談室」「地域医療連携室」という部屋があり、「医療ソーシャルワーカー」という福祉専門の相談員が配置しています。
入院期間中に今後のことを相談。
急性期病院は約30日で退院もしくは回復期リハビリ病院へ転院を促されます。
回復期リハビリ病院では脳梗塞などで150日間以内。
記憶や言語などの機能が低下する高次脳機能障害で180日以内。
大腿骨骨折の場合は90日以内。この間に介護の段取りを整えます。
在宅介護か介護施設入居か
退院後の生活について費用の負担、どんな介護を希望するのかを家族で話し合いましょう。
遠距離で親の面倒が見れないから介護施設に入れると勝手に決めないでください。
親としてはできる限り住み慣れた自宅で暮らしたい在宅介護の希望があるかもしれません。
医療ソーシャルワーカーに入院生活の不安や入院費用についての相談や
退院後のリハビリや利用できる介護サービスなどについての相談をしましょう。
2、「介護保険申請」をすぐに行います
退院後すぐに介護サービスが必要かもしれませんので入院中に介護保険申請手続きを行います。
各市区町村の役場の窓口に申請します。不安ならば「地域包括支援センター」に相談しましょう。
申請できるのは介護を必要とするご本人とその家族です。
仕事の都合などで家族が難しい場合は「地域包括支援センター」「居宅介護支援事業所」「介護保険施設」が申請を代行してくれます。
訪問調査には必ず立ち会いましょう
介護保険申請には主治医の意見書、認定調査員の訪問調査があります。
かかりつけ医がいる場合にはお願いしましょう。もしかかりつけ医がいない場合は入院中の主治医に記入をお願いしましょう。
訪問調査は、訪問調査員が自宅や入院中なら病室まで訪問してくれます。
普段の状態や生活、居住環境について74項目の質問をしていきます。
高齢者は訪問調査員の質問が聞き取れなかった場合、できていないのに「できます」と答えてしまったり、
疲れてくると適当に答えてしまうおそれもあります。
また、お客様だからと無理してお茶出ししてしまったりと頑張っておもてなしする場合があります。
普段の様子やおかしい状態があった時にはメモに書いておき、訪問調査員に渡します。
訪問調査時に話すつもりでも実際の時に言い忘れて後悔しないようにしましょう。
介護度が下がってしまうと必要な介護サービスが受けられなくなってしまうので訪問調査の時には必ず立ち会います。
もし認定結果に不服がある場合は3カ月以内に「不服申し立て」を行うことができます。
3、ケアマネジャーを選びましょう。
介護保険申請から30日以内に「介護保険認定通知書」と「介護保険被保険者証」が届きます。
受け取ったら次はケアプランを作成するためケアマネジャー(ケアマネ)を見つけます。
地域包括支援センターで相談するとケアマネジャーが所属する居宅介護支援センターのリストをもらい相談しましょう。
ケアマネジャーの条件
良いケアマネさん
- 介護を受けるご本人の話をしっかりと聞いてくれる人
- 介護家族の相談に乗ってくれて相談しやすい人
- 相談するとすぐに調べて連絡・提案してくれる人
よろしくないケアマネさん
- 所属する事業所のサービスを無理やり進めてくる人
- 相談しにくい、話を聞いてくれない、勝手に決めつける人
- 介護を受けるご本人と気が合わない人
ケアマネジャーとどうしても合わないときは
悪い人ではないけど、介護受けるご本人と気が合わない感じがする、相談しても話を聞いてくれないなど
ケアマネジャーを変えてもらうことができます。
その時はケアマネジャーが所属する居宅介護支援センターに相談、もしくは地域包括支援センターに相談してください。
ただ、介護を受けてるご本人に問題がある場合も考えられるので慎重に見極めてください。
4、お金についての相談
介護保険認定が出るまでの間にお金の問題について話し合いましょう。
なるべく親のお金でできる範囲
親の収入の範囲内でできる介護を考えましょう。
なんでも介護サービスでなるとお金がいくらあっても足りません。
自分でできることは自分でする
身体を動かさないとどんどん筋力が落ちて動けなくなってしまいます。
なるべく日常生活を自分で行いながら、できないところは介護サービスを利用する方が良いです。
親の資産を把握する
月々の年金、貯金金額、生命保険、不動産、ローンが残っていないかを聞き出しましょう。
うまく聞き出してください。
もしかしたら「親の遺産あてにしているのか」と喧嘩になる可能性もあります。
在宅介護、施設介護でもお金がかかってくることをお話しして聞き出してください。
介護家計簿をつける
親の資産を使って介護をする場合、兄弟から不満が出てくることもあります。
相続時にもめる原因とならないように介護で使ったお金の流れはしっかりと記録します。
領収書も残しておきましょう。
ケアマネジャーと連絡を取り合いお金の管理を共有しておきましょう。
私の経験ですが、口を出す割には手を出さない(介護しない)くせに、
お金についてはうるさく言う(もったいないとか)人がいます。
お金が無いからと安易な介護離職は絶対NG
総務省「平成29年就業構造基本調査」では
2016年10月~2017年9月にかけて介護・看護のため前職を離職したのは9万9千人。
親の介護問題に直面する世代は40~50代が多いです。
離職すると介護人員にはなりますが、収入は激減・無収入になります。
親を看取った後の再就職は難しいと思われます。
また、親の介護をめぐって離婚したり、家族がバラバラに暮らすことになる場合もあります。
親を呼び寄せる場合も環境が変わって認知症発症や家族の不仲にもなりかねません。
しっかりと親子、兄弟、夫婦で話し合うことが重要です。
5、介護帰省割引の登録をしましょう。
遠距離介護が始まり、何かと帰省することが増えてくると交通費の負担があります。
航空会社「介護帰省割引」
日本航空
全日空
スターフライヤー
ソラシドエア
4社が制度ありますが、条件、利用時期などは各社違いますので確認をしてください。
新幹線「エクスプレス予約」「ジパング倶楽部」「J-WESTカード」
JRでは介護帰省割引制度はありませんが、会員になって会員専用の割引制度を使う方法があります。
年会費が発生する場合もありますが、選択肢として利用されてはどうでしょうか。
何回、何年続くかはわかりませんが、介護の後の法事・法要でも利用した場合はお得かもしれません。
6、「介護休業・休暇」「休業給付金制度」を使う
親が体調を崩した場合数日実家に滞在しなくてはいけないことも出てきます。そんな時に使える制度を紹介します。
介護休暇・休業について
- 介護休暇:育児・介護休業法に基ずく制度。
取得できる日数は介護が必要な家族一人当たり1年で5日まで。対象家族が2人以上なら10日まで。
取得できるのは、正社員、契約社員、アルバイト、パートで半年以上雇用された者。
特に書面は必要なく当日口頭で伝えるだけでも取得できる
- 介護休業:介護状態の家族一人当たり最大三回、通算93日まで取得可能
その間の給料は出ないが、介護休業給付金を申請すれば賃金の約7割が給付される
介護休業給付金について
雇用保険の加入者が受けとれる。
「休業開始賃金月額証明書」を勤務する会社がハローワークに提出する必要がある。
もし勤務している会社がやってくれない場合はご自分で申請することができます。ハローワークに相談しましょう。
7、見守りサービスを利用する
在宅介護の場合は一人暮らしになるので心配になります。最近では一人暮らしの見守りサービスが増えてきました。
公共の見守りサービス
各自治体では一人暮らしの高齢者宅に緊急時通報サービスが受けられます。
自治体で利用しているのは”アイネット”があります。電話がかかってきて異常が無いか聞いてくれます。または首から通報ボタンをかけて緊急時には登録している家族に連絡がいきます。
または民生委員に連絡をとり見守りをしてもらうことも可能です。
介護保険外サービスを利用する
在宅訪問マッサージなどを利用して、自宅に訪問して見守ってもらうことができます。
介護保険では利用できないサービスです。医療保険を使います。
在宅訪問マッサージを利用して介護保険のリハビリ分を違う介護サービスに使うこともできます。
民間の見守りサービスを利用する。
警備会社で行っている見守りサービスを利用するとか、
他にはヤクルトさんの訪問をお願いしたり、郵便局の見守りサービスもあります。
給湯ポットで使用していれば異常なしと教えてくれるものに買い替えることも選択肢として考えてみてはどうでしょうか。
終活協議会の心託サービス(入会金1万円)で月額利用料無料の見守りサービスがあります。
宅配のお弁当サービスもあります。食事の心配がなくなります。
まとめ
遠距離介護は近くにいない分負担が大きいし、不安もあります。
使える制度を利用して、相談できるところに行って相談をしましょう。
介護離職はお勧めできません。仕事を頑張って交通費を稼ぎなるべく顔を見せに帰省しましょう。
介護制度についてこちらの記事
「介護保険を使いたい時は」、
「ケアマネージャー」
「在宅介護で使える介護サービスについて相談するには」にまとめてありますのでお読みください。
見守りサービスの選択肢として「在宅訪問マッサージ」にまとめてありますのでお読みください。
心託サービスについては「見守りサービスもいろいろとあります」にまとめてありますのでお読みください
詳しく知りたい、相談したい、在宅訪問マッサージ利用したいなどありましたら終活水先人ココロノテにご相談ください。