意識が無い家族へ延命治療の胃ろうを勧められた時に確認するべき事・話し合うべき事

この記事では、突然病気やケガで急変した場合や意識がない状態での、今後の治療方針を家族が決断しなければならない時に医師から延命治療として胃ろうを勧められた時、医師にどんな事を確認しておくべきなのか。

また、ご家族でどんな事を話し合うと良いのかを解説します。
終活水先人ココロノテ代表の遠藤です。
延命治療について普段から家族で延命治療についての話し合っている、又はエンディングノートに書いてあるなら困りませんが、全く考えてもいない場合どう判断したら良いのか。分からないとご相談をいただくことがあります。

そこで、この記事では、そもそも延命治療・胃ろうがどういうものなのか。
そして、医師に判断を迫られた際に一体どういった事を確認したり話し合うと良いのか。
また、万が一の時に備えた「リビングウィル」について、ご相談をいただく方の例を元に解説いたします。

 

 

 

 

人工的水分・栄養補給法について

経口による自然な摂取以外の仕方で水分・栄養を補給する方法の総称

  • 経腸栄養法(胃ろう栄養法、経鼻経管栄養法、間欠的口腔食道経管栄養法)、
  • 非経腸栄養法(中心静脈栄養法、末梢静脈栄養法、持続皮下注射)
    AHN は、対応する英語表現 “artificial hydration and nutrition”の略記

胃ろうとは

口から食べ物を食べられなくなった人に対する栄養補給法の一つです。

口から食事のとれない方や、食べてもむせ込んで肺炎などを起こしやすい方に、直接胃に栄養を入れる栄養投与の方法です。

造られたおなかの口を「胃瘻(胃ろう)」

取り付けられた器具を「胃ろうカテーテル」(カテーテル=管、チューブ)

 

胃ろうは、欧米で多く用いられている長期栄養管理法で、鼻からのチューブなどに比べ、患者さんの苦痛や介護者の負担が少なく、喉などにチューブがないため、お口から食べるリハビリや言語訓練が行いやすいというメリットがあります。

カテーテルの種類は4タイプ

おなかの口(胃ろうカテーテル)は抜けないように、胃内固定版と体外固定版で止めています。

胃内固定版は「バルーン(風船)型」 「バンパー型」

体外固定版は「ボタン型」「チューブ型」

 

PEG(ペグ)とは、Percutaneous Endoscopic Gastrostomy の頭文字をとったもので、経皮内視鏡的胃瘻(いろう)造設術といいます。

PEGは、口から食事のとれない人、飲込む力の無い人のために、直接、胃に栄養を入れるためのおなかに小さな「口」を作る手術です

 

PEG造設の様子

胃ろう(ペグ)の取り付け方

内視鏡を使って行うのでお腹に5~6㎜くらいの傷がつきます。

出血もほとんど無く、手術時間も5分から10分くらいで終了します。

手術後は多少痛みますが、軽い痛み止めで取り除くことができます。

その後、痛みも和らぎ違和感もほとんど無くなります。

胃ろうをつけた生活

意識が戻ってからの胃ろうをつけた生活について調べました。

胃ろうを造ってもごはんは食べられます。

口から食べることになんの支障もありません。

むしろ、鼻からの管などと比べて食べるリハビリに適しています。

食べたものがおなかから出てこないかと心配する人がいますが、その心配はありません。

清潔にできればOK

シャワーはもちろん、全身湯船につかっても全く支障はありません

絆創膏を貼って入浴する人がいますが、その必要はありません。

入浴はそのまま行い、石けんで良く洗い、清潔に保つことが大切です。

瘻孔形成後は、消毒は不要

清潔にしておけば、胃ろう(ペグ)の周辺が化膿したりする心配はありません。

リハビリできます

リハビリに支障はありません。

胃ろうは鼻からのチューブが入っていないため、

嚥下(えんげ)訓練、飲み込む訓練のリハビリに適しています。

 

食事が口から取れない場合

栄養摂取のスピードは自由自在に調節できます。

病状によって異なりますが、通常は1時間当たり200cc 程度のスピードで注入します。

下痢などの心配が無ければ、もっと早く入れても差し支えありません。

しかし、逆流の強い患者さんにはゆっくり注入したほうが良い場合もあります。

耐久性はありますが、異物であることに違いはありませんから、約4ヶ月から半年に1回、定期的に交換を行います。

麻酔なしで、在宅でも外来でも交換できます。交換後はその日から食事も入浴も自由です

口から十分に栄養が取れるようになった場合

口から十分に栄養が取れるようになったら、胃ろう(ペグ)は不要になり除去できます。

胃ろうを抜いた後、胃の粘膜は約3時間程で修復され、おなかの傷もほとんど目立たなくなります。

除去したその日からでも、食事ができます。

在宅介護における栄養管理はとても大切なことですが、ご家族はもちろん、元気な患者さんなら自分自身でも、安全に容易に取り扱うことができます。

延命治療とは

死が間近に迫り、人工呼吸器や心肺蘇生装置などを装着して患者の死期を引き延ばすこと(延命)を重視した治療が延命治療です。

単なる延命が患者自身にとって幸せなことなのか、患者の尊厳が守られるのか、さらに医療費がつぎ込まれることにより、経済的な負担も掛かります。

しかし一度始めてしまうと延命治療をやめることは躊躇されます。

もしあなたが延命治療を望まないのであれば、延命治療を拒否する「尊厳死宣言書」を作っておく必要があります。

医療行為への同意は、あくまで本人にしかできません。

しかし、急変した場合や意識がない状態での、今後の治療方針を家族が決断しなければなりません。

本人の生前の意思(リビングウィル)を準備しましょう。

家族であれ人間の生死を判断することは非常に責任が伴うものです。

下した決断が本当によいものだったのか悩むことも多々あります。
そういった苦渋の決断を避けるためにも、本人の生前の意思(リビングウィル)を家族に伝えておくことはとても大切なことです。

自然な死を迎えるときは食べ物が食べられなくなりやせ細って静かに息を引き取ります。

無用な胃瘻は、自然な死を邪魔することにもなりかねません。
もし家族の意識がはっきりしている時に、「尊厳死宣言書」(リビングウィル)を作成しておけば、家族は医師と相談して、補液の中止を行っても、これは倫理的に認められることです。
栄養補液を少しずつ減らしていけば、結果として尊厳死となります。

延命治療をしたくない場合

延命治療を拒否したいのであれば家族に伝えておくことが必要です。

自分は延命治療を受けたくないと思っていても、家族は少しでも長く生きていて欲しいという気持ちから、延命治療を行うことが多いからです。

自分の意思を全うするためにも尊厳死の意向を示す書類を作成し、さらに家族にも伝えておくことが大切です。

まとめ

胃ろう=延命治療=もう食事とれない

というイメージがありましたが、

  • 胃ろうをつけたことで栄養が取れ治療、リハビリもできること
  • 口からの栄養が取れれば、胃ろうが外せる   に驚きました。

胃ろうのメリット・デメリットを医師にしっかり確認をして決めることをお勧めいたします。

終末期医療について詳しく知りたい方はこちらのページ

終末期医療 延命治療・尊厳死・安楽死・緩和ケアについて」

でまとめてありますのでそちらもご覧ください。

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